【5月19日 AFP】来週に予定されているバラク・オバマ(Barack Obama)米大統領の広島訪問は、人類史上初めての原爆投下という、当時のハリー・トルーマン(Harry Truman)大統領の画期的な決断をめぐる感情的な議論を再燃させている。

 前任のフランクリン・ルーズベルト(Franklin Roosevelt)の急死を受け大統領に就任してから13日後の1945年4月25日、トルーマンは衝撃的な機密事項の報告を受けた。

「おそらく4か月以内に、人類史上もっとも恐ろしい兵器、1つの都市すべてを破壊できる爆弾が完成する見込み」。当時の陸軍長官、ヘンリー・スティムソン(Henry Stimson)は、手書きのメモでこう記している。

 ルーズベルト政権で副大統領を務めていたにもかかわらず、トルーマンはそれまで、世界初の原子爆弾を製造する「マンハッタン・プロジェクト(Manhattan Project)」の存在を知らされていなかった。

 その後4か月の間に、原爆実験の成功、目標の選定、推定21万4000人の命を奪った広島と長崎への「リトルボーイ(Little Boy)」と「ファットマン(Fat Man)」の投下、日本の降伏が続いた。

 トルーマンの決断の早さや背景、余波については、現在も議論の的となっている。特に日本では、原爆投下による市民の大量殺害は行き過ぎで、おそらく戦争犯罪ですらあるとの意見が、世論の大半を占める。

 一方、今回の広島訪問は罪の告白に等しいと懸念する識者らは、オバマ大統領に対し、謝罪をしないよう訴えている。

 ノートルダム大学(University of Notre Dame)のウィルソン・ミスキャンブル(Wilson Miscamble)教授(歴史学)は、「オバマ氏は5月27日の広島訪問で、トルーマンと距離を取るべきではない。むしろ、恐ろしい戦争を終わらせた大統領に賛辞を贈るべきだ」と書いている。