【5月19日 AFP】中国の張徳江(Zhang Dejiang)・全国人民代表大会(全人代)常務委員長は18日、香港(Hong Kong)の自治権維持については「安心」して良いと述べた一方、独立を主張する活動家らを強く批判した。

 張氏は3日間の日程で香港を訪問中。中国共産党の最高指導部メンバーが香港を訪れるのは4年ぶりだ。

 香港では、中国が締め付けを強化しており、これまで市民に保障されてきた自由が脅かされているとの懸念が広がっている。こうした中での張氏の訪問目的は、表向きは18日の経済会議出席だが、その実、政治改革の欠如をめぐる不満から火が付いた独立運動に対する懐柔措置とみられている。

 中国政府と香港当局は共に、独立を求める動きを非難している。

 18日、改革派議員が出席をボイコットした夕食会で張氏は、香港が中国によって「本土化」されることはないと述べ、「中央政府が香港の本土化を望み、『一国二制度』を『一国一制度』に転換しようとさえもくろんでいると主張する者たちには、根拠がない」と批判した。

「『一国二制度』は、わが国と香港にとって最大の利益だ。中央政府は断固として同制度を実施していく。香港社会は全く安心して良い」 (張氏)

 一方で、張氏は香港の自治拡大を求める「地域主義」運動を批判。 「ごく一部の人々が、香港独立を掲げて中央政府に抵抗している」「これは地域主義の問題ではなく、地域主義の名の下に中国と香港の分裂を図る試みだ」として、こうした違法行為を「強く非難」するよう香港社会に呼び掛けた。

 張氏の訪問を受け、滞在するホテルや会議・夕食会会場のコンベンションセンター周辺の道路には、厳重な警備が敷かれた。一角では、民主派のデモ隊200人ほどと親中派のデモ隊がにらみ合いになり、中国国旗を振り愛国歌をスピーカーで流す親中派に対し、民主派が「中国へ返れ」と叫びながら自由選挙と一党支配の終了を求めた。(c)AFP/Aaron TAM Dennis CHONG