トルコ大統領を風刺した詩、公の場で朗読禁止 独裁判所
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【5月18日 AFP】ドイツ北部ハンブルク(Hamburg)の裁判所は17日、トルコのレジェプ・タイップ・エルドアン(Recep Tayyip Erdogan)大統領を自作の詩で風刺したドイツ人コメディアンに対して、この詩を公の場で朗読することを禁止する裁定を下した。
詩はヤン・ベーメルマン(Jan Boehmermann)氏がつくったもので、エルドアン大統領は残虐で小児性愛を趣味としているという内容。言論の自由をめぐりドイツ国内で波紋を呼び、同氏に対する刑事手続きにゴーサインを出したアンゲラ・メルケル(Angela Merkel)首相が批判を浴びていた。
裁判所は24行の詩のうち朗読してもよいのは6行だけとの判断を示した。ベーメルマン氏を非難していたエルドアン大統領側が一部法的な勝利を収めた格好だ。
ベーメルマン氏が詩を発表したのは、今回問題となった風刺詩よりはるかに婉曲(わいきょく)的な表現でエルドアン大統領を揶揄(やゆ)する歌をドイツのテレビ局が放送したところ、トルコ政府が駐トルコ独大使を呼び出して抗議したことがきっかけだった。
ベーメルマン氏が訴追された場合に適用されるのは、外国政府の機関や元首などを侮辱した場合に最高5年の禁錮刑を科すドイツ刑法第103条。これまでに適用された例はほとんどない。
ドイツ、トルコ両政府が移民危機に対して歩み寄りを模索する中で起きたこの出来事によって、両国関係は水を差される形となっていた。(c)AFP