【5月18日 AFP】米アトランタ・シンフォニーオーケストラ(Atlanta Symphony Orchestra)で71年間演奏を続け、ギネス記録認定間近とみられていた87歳のコントラバス奏者が15日、ステージで倒れて死亡した。同オーケストラが16日、発表した。

 ジェーン・リトル(Jane Little)さん(87)は、同オーケストラが開いたブロードウェー(Broadway)ミュージカルの名曲を集めたコンサートのアンコールで「ショーほど素敵な商売はない(There's No Business Like Show Business)」を演奏している最中に意識を失った。

 聴衆が見守る中、リトルさんは医療の訓練を受けた経験を持つコーラス隊の一人によっていったん蘇生したが、病院で死亡したという。

 リトルさんは、同オーケストラが米南部ジョージア(Georgia)州アトランタ(Atlanta)で1945年に設立され、初めて演奏会を行ったときからのメンバーだった。

 オーケストラには驚くほど長い間在籍したが、身長が150センチしかなかったリトルさんは、男性奏者しかいなかった時代に大きなコントラバスを弾きこなした。

 今年、地元テレビ局WXIAに出演したリトルさんは、「私は今、この国の主要なオーケストラで最も小柄なコントラバス奏者のはずです」と語り、「自分のやるべきことをこなすために必死で頑張ってこなくてはなりませんでした」と振り返っていた。

 同オーケストラによれば、リトルさんは71年前から毎シーズン、演奏会に参加し、プロオーケストラでの在籍期間としては世界最長とみられていた。同団体は今年、ギネスブック(Guinness Book of World Records)にリトルさんの情報を送り、審査が行われているところだった。

 リトルさんは、同オーケストラの首席フルート奏者だった夫が2002年に亡くなった後、がんを患い、昨年倒れたにもかかわらず、演奏を続けていた。今シーズンの演奏会が終わったら引退するつもりだったという。(c)AFP