香港リーグ制覇の女性監督、始まりはベッカムへの一目ぼれ
このニュースをシェア
【5月24日 AFP】今季の香港プレミアリーグを制した東方体育会(Eastern Sports Club)の陳婉ティン(Yuen Ting Chan、チャン・ユエンティン)監督は、男子のトップリーグでタイトルを獲得した初の女性指揮官として、ギネス世界記録(Guinness World Records)に認定された。
少女時代に元イングランド代表のデビッド・ベッカム(David Beckham)氏に一目ぼれしたという27歳の陳氏は、「牛丸(肉団子の意)」というニックネームのごとく固い信念を持ち、就任一年目で、チームに21年ぶりのリーグ優勝をもたらした。
陳氏のサッカー人生は、テレビでマンチェスター・ユナイテッド(Manchester United)の試合にくぎ付けとなった13歳の時に始まった。特に、イングランド代表のスターだったベッカム氏の「イケメン」ぶりに夢中になったという。
その恋心が、間もなくサッカーへの情熱に変わった陳氏は、両親の反対を押し切り、指揮官としてのキャリアを突き進んでいくことになった。
陳氏はAFPの取材で、「年齢や性別に関係なく、一生懸命取り組む必要があります。チームの成績が悪ければ、自分の存在価値はありません。ピッチでは女性であることを忘れ、とにかく自分の能力を発揮することを目指しています」と話した。
大学のアマチュアチームでプレーし、香港代表にも選出された実績を持つ陳氏は、指揮官の道を歩む決断を下し、男子プロリーグの扉をこじ開けた。
昨年12月には、前任者が他クラブからのオファーを受けたため、陳氏はアシスタントコーチから東方の監督に昇格。それ以降、何時間もかけて試合のビデオや数字を詳細に分析し、その豊富なサッカー知識で、選手からの敬意を勝ち取った。
「ビデオやデータを見せれば、私の考えが正しいと理解してもらえます。科学を信用することが、近代サッカーをリードしていくことになります」
鋭い観察眼を持つ陳氏は、黒の練習着に身を包んでパスドリルの中央に陣取りながら、時には静かに見守り、時には選手と一緒に走る。陳氏は「コミュニケーションを取るように、彼らに耳を傾けているのです」と説明した。