関係国、リビア統一政府への武器供与に合意 対IS戦支援
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【5月17日 AFP】紛争で荒廃しているリビアについて、米国とイタリア、さらにリビアの同盟国と近隣諸国は16日、オーストリア・ウィーン(Vienna)で会合を行い、発足したばかりの統一政府がイスラム過激派組織「イスラム国(IS)」の脅威に立ち向かっていけるよう、武器を供与していくことで合意した。
ジョン・ケリー(John Kerry)米国務長官によると、25のメンバーが出席したこの会合で、リビア内戦を終結させるために国連(UN)が発動している武器禁輸の対象から、国民合意政府(GNA)を外すことで一致したという。
ただケリー国務長官はイタリアのパオロ・ジェンティローニ(Paolo Gentiloni)外相と共に、新政府を支援するために国際部隊を派遣する計画はないと語った。
一方でケリー氏は、ウィーンを訪れたリビアのファイズ・シラージュ(Fayez al-Sarraj)暫定首相から、装備と訓練の提供要請を受け、参加した閣僚らは支援する用意を示したと明かした。
ISはリビアの混乱に付け込み、地中海(Mediterranean Sea)沿岸の都市シルト(Sirte)一帯に一大拠点を設け、周辺地域への攻撃の起点としている。
国際社会、特に欧州諸国は、リビアの不安定な沿岸部から地中海を渡って難民や移民が流入していることについても危惧している。
ジェンティローニ外相はウィーンでの記者会見で、「リビアの安定は、われわれが抱えているリスクへの鍵となる答えであり、リビアを安定させるためには一つの政府が必要だ」と述べた。
リビアでは、2011年に北大西洋条約機構(NATO)の支援を受けた反体制派がムアマル・カダフィ(Moamer Kadhafi)大佐の独裁政権を崩壊させ、カダフィ大佐を殺害。現在は対立する武装勢力同士が同国を支配しようと衝突し合っている。ISは昨年、カダフィ大佐の出身地だったシルトを掌握して戦闘員の訓練キャンプを設置した。
国連の仲介による何か月にも及ぶ交渉の末、3月末に統一政府GNAが発足。GNAは中央銀行や国営石油公社(NOC)といった主要な機関から支持を取り付けたものの、抵抗は依然根強い。
同国の東西で敵対する2つの政府に加え、武装勢力や凶暴な司令官の下で軍を結成しようとしている組織などが、GNAによる統治を拒否している。(c)AFP/Dave CLARK with Mohamad Ali HARISSI in Tripoli