【5月16日 AFP】フランスの女性閣僚経験者17人が15日、政界におけるセクシュアルハラスメント(セクハラ)に対し「もう泣き寝入りはしない」と決意表明する超党派の声明を連名で発表した。仏政界では先週、下院副議長のセクハラ疑惑をめぐって調査が開始されている。

 仏週刊紙ジュルナル・デュ・ディマンシュ(Journal du Dimanche)に掲載された声明文には、国際通貨基金(IMF)のクリスティーヌ・ラガルド(Christine Lagarde)専務理事やロゼリーヌ・バシュロナルカン(Roselyne Bachelot-Narquin)元スポーツ相、セシル・デュフロ(Cecile Duflot)元住宅相ら、フランスの女性政治家の重鎮が名を連ねる。

 37年前に上院議員から性的虐待を受けていた事実を最近になって告白したモニク・ペルティエ(Monique Pelletier)元司法相(89)の署名もある。ペルティエ氏は、セクハラ被害をこれまで黙っていたことを恥じていると語っている。

 声明は、性差別やセクハラ発言、不適切なジェスチャーや振る舞いを組織的に糾弾すると約束。各政党や政治団体に対し、こうした行為の有無を検証し、必要に応じて被害女性が事実を告白し正義を得られるよう支援することを強く求めた。

 これに先立ち仏裁判所は10日、ドニ・ボーパン(Denis Baupin)下院副議長(53、当時)からセクハラを受けたという複数件の訴えを受けて、調査の開始を命じた。ボーパン氏は即日辞任したが、疑惑については真っ向否定。セクハラ疑惑を報じた仏メディア2社を「嘘つき」と呼び名誉棄損で提訴すると息巻いている。

 また、ミシェル・サパン(Michel Sapin)財務相も同日夜、それまで2度にわたり否定していた女性記者に対する「不適切な行為」を認め、昨年初頭に行われた会議の席で、女性記者の「背中に手を置きながら彼女の服装についてコメントした」と釈明した。これに先立ちサパン財務相は、女性記者の下着のゴムを引っ張ったとの疑惑について2度、否定していた。

 女性閣僚経験者17人は、「こうした環境に女性が適応するのではなく、一部の男性の振る舞いを変える必要がある」と訴え、セクハラ被害者らに対し声を上げ苦情を申し立てるよう呼び掛けている。(c)AFP