【5月15日 AFP】深刻な経済危機に見舞われているベネズエラのニコラス・マドゥロ(Nicolas Maduro)大統領は14日、前日に発令した非常事態宣言に基づく一斉取り締まりの一環として、操業を停止した工場の差し押さえやその経営者の逮捕を実施すると表明した。また軍事介入といった国外からの脅威など「あらゆる状況に備える」ため軍事演習を21日に実施すると発表した。

 食料不足や物価高騰、暴動、略奪、自警団による裁きなどを引き起こし、ベネズエラを崩壊寸前に追い込んでいる深刻な経済危機への対応に追われているマドゥロ大統領は13日、「ベネズエラの極右派」の要請を受けて、同国を不安定化させているとして米国を非難するとともに、非常事態を宣言した。1月に宣言した「経済緊急事態」を全面的な非常事態に拡大した形だ。

 首都カラカス(Caracas)で14日に行われた集会で同大統領は、非常事態宣言のもと、いくつかの対策が取られると支持者らに述べたが、その内容はまだ正式には発表されていない。

 マドゥロ大統領は、「資本家階級によってまひさせられているわれわれの生産能力を回復するため、あらゆる対策を取らなければならない」、「(生産を)停止し、国に対する妨害活動を行いたい者は全員出ていくべきだ。そして、実際に停止した者は逮捕され、刑務所に送られなければならない」と、声援を送る支持者らに語った。

 ベネズエラでは先月30日、同国最大の飲食品会社ポーラー・グループ(Polar Group)が、政府の不手際により大麦をもはや輸入することができないとしてビールの生産を停止している。(c)AFP/Valentina OROPEZA