南アのサイを密猟から守れ、豪に空輸計画
このニュースをシェア
【5月15日 AFP】30年前に南アフリカからオーストラリアに移住した元会社役員の男性が、母国のサイを密猟から守るために80頭のサイをオーストラリアに空輸するという大胆な計画を進めている。
サイ1頭を1万1000キロ空輸するにはおよそ4万4000ドル(約480万円)の費用がかかるが、レイ・ディアラブ(Ray Dearlove)氏(68)は、密猟で殺されるサイがここ数年で急増していることを考えれば、それだけの費用とリスクは必要不可欠だと考えている。
空輸された後、サイはオーストラリアのサファリパークで保護され、次の世代の種を産むために「遺伝子バンク」の役割を果たすことになるという。
ディアラブ氏が2013年に設立した団体「オーストラリア・サイ・プロジェクト(Australian Rhino Project)」は、年内にまず6頭のサイをオーストラリアに輸送したいと考えている。
個人や企業からの協力によって必要な資金は間もなくそろうところで、1頭目のサイは南アフリカの私設保護区にいるサイの中からすでに選ばれているという。
しかし夢の実現に近づいているディアラブ氏は、大きな問題に直面している。
南アフリカとオーストラリア当局は、動物の輸送に厳しい要件を課している。
サイは南アフリカで輸送前に2か月間の検疫を受け、輸送機でオーストラリアに到着した後はシドニー(Sydney)にある動物園にそのまま送られる。動物園で再度、検疫を受け、その後ようやくサファリパークに輸送されることになる。
南アフリカには世界中のサイの約80%に相当する約2万頭のサイが生息している。だが、中国やベトナムなどでその角が医薬品として珍重され需要が高いことから、角のためにサイが殺されている。
国際自然保護連合(IUCN)によれば、昨年アフリカ全土で密猟によって殺されたサイは1338頭に上る。(c)AFP/Susan NJANJI