【5月13日 AFP】頭のふけの原因は真菌だと思っている人が多いが、実際は頭皮に常在する2種の競合する細菌間のバランスが崩れることで発生するとの研究結果が12日、英科学誌ネイチャー(Nature)系オンライン科学誌「サイエンティフィック・リポーツ(Scientific Reports)」に発表された。

 プロピオン酸菌とブドウ球菌は健康な髪の陰と陽のようなものだ。この2種の細菌が互いに抑制し合っている場合にはふけの発生も食い止められるが、中国と日本の研究者らのチームが発表した論文によれば、一方の細菌が他方より優勢になると、まるで雪片のように肩に積もるあの白い薄片が増え始めるのだという。

 地球上で最も一般的な頭皮の病気であるふけ症は、世界人口の約半数にとって髪にまつわる悩みの種となっている。

 ふけ症の原因と治療法をめぐっては、専門家らの間で長年、意見が全く分かれていたが、最近になって特に一つの元凶を中心として、見解の一致がみられるようになっていた。研究チームは発表した論文の中で「これまで頭皮上の微生物、特に菌類をふけ発生の主な要因とする見方が優勢だった」と指摘した。

 この見方は誤りではないかと考えた中国・上海交通大学(Shanghai Jiao Tong University)のチャン・メンフイ(Zhang Menghui)氏が主導する研究チームは、人の頭皮の生態系に存在する多数の変数がどのように相互作用しているかを調べるためこれらの変数を個別に特定し、18歳から60歳までの中国人ボランティア被験者59人を対象として、水分、数十種の細菌、青年期と成人早期に増加する油性分泌物の皮脂、ふけの元凶とされていた真菌のマラセチアなどのレベルを測定した。

 被験者には検査の48時間前に洗髪させ、頭皮の8か所からふけのサンプルを採取した。検査の結果、研究チームは「全体的に、ふけの重症度においては菌類は重要な役割を示していなかった」と結論付けた。「細菌類とふけの間の関連性の方がはるかに強かった」

 また研究チームは、通常は互いに抑制し合っている2種の主要な細菌の存在比率が変化した場合にふけの発生率が高くなることを発見し、「頭皮上の細菌のバランスを調整することがふけを減らす解決策になるかもしれないことを、今回の研究は示唆している」と結論付けている。(c)AFP