黒人少年射殺の米男性、凶器の銃をネット競売に
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【5月13日 AFP】米フロリダ(Florida)州で2012年、武器を所持していなかった黒人少年トレイボン・マーティン(Trayvon Martin)さん(当時17)が射殺され、全米に抗議行動が広がった事件で、殺人罪に問われたものの無罪評決を受けた元自警団員のジョージ・ジマーマン(George Zimmerman)氏(32)が12日、事件で使用した銃を競売に出した。
問題の銃はケルテック(Kel-Tec)社の9ミリ拳銃で、ユナイテッド・ガン・グループ(United Gun Group)のウェブサイト上でオークションに出品された。当初は銃器競売サイト「GunBroker.com」に出品されたものの、サイト運営者によって削除されていた。
ジマーマン氏は銃について、「私の命を守り、トレイボン・マーティンの残忍な攻撃を終わらせるのに使われた拳銃」と宣伝。購入すれば「米国史の一片を手に入れられる」と書いている。
最低落札価格は5000ドル(約55万円)に設定。売り上げの一部は、警察の黒人への暴力行為に反対する運動「黒人の命は軽くない(Black Lives Matter)」による「警察官に対する暴力」や、米大統領選の民主党指名争いに出馬するヒラリー・クリントン(Hillary Clinton)氏の「反銃器発言」に対抗するために使うと説明している。
インターネット上で出品されて2時間後、入札こそなかったものの、2人のユーザーが「お気に入り」に入れていた。
米国では、マーティンさん射殺事件を皮切りに、黒人の若者が殺害される事件が相次いで大々的に報じられ、全米規模で人種差別論争が持ち上がった。
2012年2月、高校生だったマーティンさんは、フロリダ州サンフォード(Sanford)の「ゲートコミュニティー(自衛居住区)」内で、アイスティーと菓子を手に歩いて帰宅していた際、自警団員だったジマーマン氏の発砲を受けて死亡した。
第2級殺人罪で起訴されたジマーマン氏は、マーティンさんが強盗に関与したと思い込んで後をつけ、自衛のために射殺したと主張。翌年に無罪評決が言い渡されたことから、同州の正当防衛法をめぐって全米で抗議デモが行われた。(c)AFP/Olivia HAMPTON