【5月12日 AFP】フランスの検察当局は11日、パリ(Paris)近郊で19歳の女性が走行中の列車の前に飛び込んで自殺する様子を動画中継アプリ「ペリスコープ(Periscope)」で生中継した事件をめぐる捜査を開始した。

 ツイッター(Twitter)傘下の同アプリでは過去にも、レイプや暴行の場面が生中継される事件が起きており、物議を醸していた。

 自殺した女性の身元は明らかにされていない。検察当局によると、女性は自殺の数分前、友人らに自殺をほのめかすメッセージを送信。さらに、ペリスコープを通し、ネットユーザーに向けて自らの行為を説明したという。

 ある司法当局筋によると、女性は動画の中で「レイプ事件について話し、犯人を名指しした」が、この疑惑についての現段階では慎重な調べが進められているという。

 パリ南郊エグリ(Egly)の駅で10日に起きた自殺の様子を写した動画は、すでにペリスコープ上から削除されている。だが、自殺前の女性の様子を捉えた動画の一部は、ユーチューブ(YouTube)で現在も視聴可能となっている。

 その中で女性は、ソファに座ってたばこを吸いながら、動画は話題作りが目的ではなく、「人々に反応を起こさせ心を開かせるためで、それ以外の目的はない」と語った。動画は次に真っ黒な画面になり、緊急要員のものと思われる声がかすかに聞こえる中、女性の安否を気遣うペリスコープユーザーのメッセージが次々と映し出される。

 警察筋によると、午後4時30分ごろ、動画中継を視聴していたペリスコープのユーザーから警察に通報があった。このユーザーは女性の知人だったという。

 ペリスコープを2015年に買収したツイッターは声明で、プライバシー保護などを理由に個々のアカウントについてコメントしないが、問題の動画については、報告を受けて削除したと説明している。

 ペリスコープでは、過激なコンテンツが投稿される事例が増加している。米オハイオ(Ohio)州では先月、17歳の友人が29歳の男にレイプされる場面をペリスコープ上で生中継した18歳の女が出廷。男と共に、誘拐や強姦(ごうかん)、性的暴行の罪で訴追されたが、無罪を主張した。

 ニュースサイト「バズフィード(BuzzFeed)」によると、3月には英ロンドン(London)でレイプとみられる性的行為の場面がペリスコープで生中継された。また4月には同じくロンドンのショッピングセンターで起きた若者同士の乱闘騒ぎがペリスコープで生中継されている。(c)AFP/Alexandre HIELARD Eric RANDOLPH