【5月11日 AFP】体重が標準より重い部類に入ることは現在、少なくとも死亡リスクに関してみると、1970年代ほど危険ではなくなっていることを示唆する研究結果が10日、発表された。

　米国医師会雑誌（JAMA）に発表された論文によると、体重と身長の比率の最適値である体格指数（BMI）は現在、健康とされる範囲の上限側にあるという。

　デンマーク・コペンハーゲン大学病院（Copenhagen University Hospital）のボーエ・ノーデシュゴール（Borge Nordestgaard）臨床学教授は「1970年代との比較では、現在の過体重の人は、いわゆる標準体重の人よりも死亡率が低下している」と話す。この変化の理由は不明だと言う。

　今回の調査報告は、デンマークに住む10万人以上のデータに基づくものだ。調査は3つの対象集団（コホート）にわたって実施され、1976～1978年、1991～1994年、2003～2013年の3期間にすべての理由による死亡率をそれぞれ調べた。

　体重（キロ）を身長（メートル）の2乗で割って算出するBMIについて、医師らは現在、18.5～24.9を普通体重と定義している。BMIが25～29.9で過体重、30以上で肥満とみなされる。

　1970年代では、死亡率が最低となるBMIの最適値は23.7だった。この値は、男性では身長183センチで体重77キロ、女性では身長165センチで体重65キロに相当すると考えられる。

　だが、このBMI最適値は、1991～94年の調査では24.6に増加し、2003～13年では27に達した。これは40年前と比較して、身長183センチの男性で体重が14キロ、身長165センチの女性で体重が9キロ、それぞれ増加したことに相当する。

　1970年代には、肥満とされる人は標準体重の人に比べて死亡率が高かったが、2000年代になるとこの関連性が消失した。

　コペンハーゲン大学病院の研究主任、ショアイブ・アフザル（Shoaib Afzal）氏は「普通体重と比較して肥満の方が、原因を問わない死亡率がどれだけ上がるかは、1976～78年には30％だったが、2003～13年には0％となっている」と指摘した。

　保健当局は長年、糖尿病や心疾患などを含む過体重のリスクについて注意喚起を図っている。

　ノーデシュゴール教授は「過体重を定義するために現在使用されている分類区分は、1990年代より以前に収集されたデータに基づくものであるため、改訂する必要性があること」が、今回の最新の研究結果から示唆されると述べた。

　だが専門家らは、今回の最新成果の背後にある生物学的メカニズムに関する理解が不十分であり、この結果を、何を食べるかに注意を払わなくてもよいという意味に解釈するべきではないと警告している。

　英グラスゴー大学（University of Glasgow）のナビード・サッタール（Naveed Sattar）教授（代謝医学）は「今回の最新成果は、過体重になることが死を防ぐことを意味するわけでは毛頭なく、多くの外的影響（交絡）因子がこの最新結果をもたらしている可能性があるとみるのが正しいだろう。過体重や肥満になることが、他の多くの病気のリスクを増加させるのと同様に、実際に死亡リスクを増加させることが、他の多くの研究から明らかになっている」と話した。(c)AFP/Kerry SHERIDAN