【5月10日 AFP】妊娠中の人工甘味料含有飲料の摂取により、生まれる子どもが過体重になる恐れがあることを示唆する調査結果が9日、発表された。

 研究論文によると、人工甘味料入り飲料の日常的な摂取は、同様の飲料を全く飲まなかった場合に比べて、子どもが1歳時に過体重となるリスクが2倍となることに関連しているという。

 カナダ・マニトバ大学(University of Manitoba)のメーガン・アザド(Meghan Azad)氏が主導した研究論文には、「妊娠中の母親による人工甘味料の摂取が、幼児の体格指数(BMI)に影響を与える可能性について、今回の研究では、人を対象とした調査に基づく証拠を初めて提供している」と記された。

 米国医師会(AMA)が発行する医学誌「JAMA小児科学(JAMA Pediatrics)」に発表された研究報告は、自己報告の調査データに基づくものだ。そのため、因果関係を証明するまでには至っていないが、この問題に関する研究のさらなる後押しとなるはずだと研究チームは述べている。

 研究では、3000人以上の母親が自ら記録した食生活習慣のデータを分析したほか、子どもの1歳時のBMIを測定した。

 妊娠中に人工甘味料入り飲料を飲んでいたと報告した女性は、全体の30%近くに上ったが、どの種類の甘味料を摂取していたかについては、今回の研究では特定されなかった。

 また、幼児の体重に影響を及ぼす可能性のある、潜在的な外的影響(交絡)因子も考慮して調整を行ったとしている。交絡因子としては、幼児の性別、母親が過体重かどうか、幼児が母乳で育てられたかどうか、またその場合は期間はどれくらいかなどが例として挙げている。

 一方で、妊娠中の母親が自己報告した砂糖入り飲料の摂取量と子どものBMIとの間には、関連性はみられなかったという。

 この問題に関するこれまでの研究は、実験動物を用いて実施されたものだった。

 人工甘味料をめぐっては、食欲を誘発して体重増加の原因となる可能性があることと、重要な腸内細菌の活動を妨げ、心臓障害のリスクを上昇させる可能性があることが、これまでの一部の研究で判明している。(c)AFP