【4月10日 AFP】米南部ノースカロライナ(North Carolina)州知事と米政府は9日、トランスジェンダー(性別越境者)の公衆トイレ使用を制限する同州の法律をめぐり、訴訟合戦を開始した。米国のトランスジェンダーの権利をめぐる論争は、激化の一途をたどっている。

 同州では3月23日、トランスジェンダーの人々に対し出生証明書に記載されている性別に合わせたトイレを使用するよう義務づける法律が成立。これに対し、全米から怒りの声が上がっていた。

 同法に対しては、活動家らに加え、著名ミュージシャンや大手企業などが相次いで反対を表明し、同州で予定していた公演や投資計画を次々と中止した。だが支持者らは、同法は性犯罪者から女性を守ることを意図したものだと主張している。

 同州のパット・マクロリー(Pat McCrory)知事は9日、同法を守るために米司法省に対して訴訟を起こし、連邦裁判所に決定をゆだねた。

 これに対し司法省は、同法は公民権法に違反するとして反訴。ノースカロライナを地元州と呼ぶロレッタ・リンチ(Loretta Lynch)司法長官は、同法を「州が支援する差別」だとし、米国でかつて存在した人種差別法や同性婚禁止措置になぞらえた。

 米国では、連邦最高裁が昨年に全米で同性婚を合法化して以来、反LGBT(レズビアン、ゲイ、バイセクシュアル、トランスジェンダー)的な動きが活発化しており、平等な権利をめぐる議論が広がっている。(c)AFP/Olivia HAMPTON