カナダの森林火災、焼失面積1日で2倍に 石油生産にも影響
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【5月8日 AFP】カナダ西部アルバータ(Alberta)州の緊急事態庁は7日夜、同州で続いている大規模な森林火災による焼失面積が前日に比べて2倍に拡大し20万ヘクタールを超えたと発表した。オイルサンド(油砂)由来の原油生産が盛んな乾燥地帯での状況は「予測できず危険」だとして当局は警戒を呼びかけている。
今回の火災で同州フォートマクマレー(Fort McMurray)の住民は避難を余儀なくされ、これまでの焼失面積は英ロンドン(London)の面積を上回った。カナダのラルフ・グッデール(Ralph Goodale)公安非常時対応準備相は「依然として大規模で勢いを抑えられない危険な火災」だと警告した。
火は7日遅く、強風によってフォートマクマレー市周辺の出火地点から東の方向にあおられた。市の北部で身動きがとれなくなっていた2万5000人は航空機か車でようやく全員がフォートマクマレーを出て避難した。
消火活動は州内の45か所の延焼地点に1100人以上の消防士を投入して行われているが、このうちフォートマクマレー市内および周辺の3か所を含む6か所は、手を付けられないほど激しく燃えている。
湿度は低く、気温は30度近くまで上がって10メートルを超える風が吹いている上、過去2か月間の少雨で森林が乾燥していたため火の勢いは強まった。しかし1週間近く前に出火してからこれまでに、火災を直接の原因とする死傷者は確認されていない。
■石油生産にも影響
オイルサンドから原油を抽出する施設が集中する地域に火が迫っているため、アルバータ州の経済を支える石油産業への影響が不安視されている。
域内で操業する石油会社シンクルード(Syncrude)は、フォートマクマレーの北50キロの地点にある自社施設を森林火災の煙を理由に閉鎖したと明らかにした。カナダ軍はシンクルードの従業員4800人の避難を支援するためC130輸送機を派遣した。
同業のサンコール(Suncor)も当局から従業員の避難を指示され、施設を閉鎖した。アナリストらは、サンコールとシンクルード、英蘭石油大手ロイヤル・ダッチ・シェル(Royal Dutch Shell)の産油量が合計でカナダの産油量の25%前後に相当する日量100万バレル減少した影響で、1日当たり数千万ドル(数十億円)規模の損失が発生すると推計している。(c)AFP/Michel COMTE