【5月7日 AFP】2014年のソチ冬季五輪で、金メダルを獲得した4人のロシア人選手がドーピングを行っていた。――同国のドーピング問題を告発したことで知られるヴィターリー・ステパノフ(Vitaly Stepanov)氏が、米CBSテレビで放送予定の報道番組「60ミニッツ(60 Minutes)」で語った。

 露反ドーピング機関(RUSADA)の元職員であるステパノフ氏は、8日に全編が放送されるインタビューの中で、今や名声が地に落ちている同機関の元所長であるグリゴール・ロドチェンコフ(Grigor Rodchenkov)氏から、「ソチ(Sochi)では、ロシア連邦保安局(FSB)の職員が『ドーピング検査の全作業を管理下に置こうとした』」と言われたことを明らかにした。

 ソチ五輪で開催国ロシアは13個の金メダルを獲得しているが、CBSが発表したインタビューの試写映像ではドーピングを行っていたとされる選手の名前は明らかにされていない。

 しかし、露陸上界の選手が今年8月のリオデジャネイロ五輪への出場を禁じられている中、今回のインタビュー内容によって、同国陸上競技連盟(ARAF)にまつわるドーピングスキャンダルが拡大する可能性がある。

 ドーピング違反で資格停止処分を受けていた陸上女子800メートル選手のユリア・ステパノワ(Yuliya Stepanova、旧姓:リサノワ〈Rusanova〉)と、その夫であるステパノフ氏は、2014年12月に放送されたドイツ公共放送連盟(ARD)のドキュメンタリー番組で、露陸連による組織ぐるみのドーピングを告発。これを受けて、世界反ドーピング機関(WADA)の独立委員会が行った調査でも、告発の内容を裏付ける「国ぐるみの」ドーピングと大規模な汚職の証拠が見つかっている。

 ステパノフ氏は「60ミニッツ」の中で、夫妻が告発したドーピング違反は氷山の一角にすぎないと、ロドチェンコフ元所長に言われたと話している。

「彼は、私とユリアが目撃したのは、これくらいに過ぎないと話した」と両手を30センチほど広げたステパノフ氏は、続けて「もみ消された違反は、これくらいになる」とさらに両手の幅を広げた。

 昨年11月、国際陸上競技連盟(IAAF)は露陸連に資格停止処分を科しており、同国陸上選手に対するリオ五輪出場の可否は、6月の審議会で決定されることになっている。

「60ミニッツ」ではまた、米国反ドーピング機関(USADA)のトラビス・タイガート(Travis Tygart)会長が、露陸連は資格回復に十分な状況ではないとして、USADAとしては同国陸上選手のリオ五輪出場に「賛成しない」と明かし、「ロシアの出場で、クリーンな選手の権利を犠牲にすることはできない」と語っている。(c)AFP