【5月6日 AFP】米国でトランスジェンダー(性別越境者)のトイレ使用に関する議論が白熱している。学校や企業を巻き込み、大統領選でも注目の争点の一つとなっている。

「トイレ論争」と呼ばれるこの問題が勃発したのは、3月にノースカロライナ(North Carolina)州が全米で初めてトランスジェンダーに対し、公共施設においては自らの認識する性別ではなく出生証明書に記載されている性別向けのトイレを使用するよう義務付けたことがきっかけだった。4月にはミシシッピ(Mississippi)州もこれにならったのに加え、保守的な州や都市の多くが同様の法案を検討したりすでに可決したりしている。

 物議を醸しているこの法案の賛成派は、女性を性犯罪者から守らなければならないと主張している。これに対し人権団体などは、こういった法律は理不尽で適用を認めるべきではなく、トランスジェンダーの人々を危険にさらすものだと訴えている。

 米コロンビア大学法科大学院(Columbia School of Law)ジェンダー・性的指向法律センター(Center for Gender and Sexuality Law)のキャサリン・フランク(Katherine Franke)所長は「同性婚反対派は、同性カップルの結婚を禁止しようとする法廷闘争で負けてしまったと認識し、今度はその矛先をトランスジェンダーの人々に向けてきているのだと思う。だが、誰がどのトイレを使うべきかという差別的な規定に関しては、一定のけん引力を持てると考えている」と指摘した。