【5月6日 AFP】米国は5日、18歳未満への電子たばこ、葉巻、パイプたばこ、水たばこなどの販売を全面的に禁止すると発表した。これらの製品が、連邦政府の規制対象となるのは史上初めて。

 米食品医薬品局(FDA)によると、販売禁止令は90日以内に施行される見通しという。FDAは、数年に及ぶ調査と議論を重ねた後に今回の最終規則を公表した。

 FDAのたばこ製品センター(Center for Tobacco Products)のミッチ・ゼラー(Mitch Zeller)所長は、従来の巻きたばこを除くたばこ製品市場について、「開拓時代の米西部」のようだったと表現した。

 ゼラー所長は、記者会見で「若者の間で使用が急速に広まっている電子たばこ、葉巻、水たばこなどの製品は、ほとんど野放しの状態だったが、この最終的な規則は、それらの製品をFDAが規制できるようにするための基本となる」と述べた。

 今回の規則の重要な側面としては、未成年者への電子たばこのオンラインおよび対面販売を禁止することの他、無料サンプルの配布禁止、成人専用施設に限定した自動販売機の設置などが挙げられる。

 また、この規則により、製造業者は自社の製品が「法令に記載されている公衆衛生の適用規格を満たす」ことを証明するために、2007年2月15日以降に発表されたすべての製品について、FDAの販売承認を受けることが義務付けられる。

 だが、広告や販促活動は規制の対象とならない他、たばこの香料成分は禁止されない。公衆衛生の専門家らは、この香料成分が若年層の顧客を引き付ける魅力となっていると指摘している。

 保健当局によると、米国人の約5人に1人が喫煙者で、同国では毎年48万人が、喫煙習慣が原因で命を落としているという。

 従来型の喫煙は、最近数十年間で減少している一方、ニコチン含有液体を加熱する電子たばこや、風味付き葉巻に走る若者がますます増えている。

 米疾病対策センター(CDC)によると、米国高校生の電子たばこの使用率は、2011年の1.5%から、2015年には16%に急増しており、同期間に900%以上の増加率を示しているという。

 2015年には、300万人に上る中高生が電子たばこを使用していた。

 電子たばこが、従来型の紙巻たばこ喫煙者による禁煙の一助になる可能性があることを示す研究は、どれも「検証が不十分」であり、より広範囲での影響を明らかにするには、さらに多くの証拠を集める必要があるとFDAは説明している。

 米ニューヨーク州立大学バッファロー校(University at Buffalo, The State University of New York)地域保健・保健行動学部のゲーリー・ジョビーノ(Gary Giovino)学部長は、今回のFDAによる規制について、電子たばこを製造する一部の中小企業にとっては要求が大きすぎる恐れがあると指摘。「これらの中小企業は、FDAから要求される情報をすべて提供するためのリソースを持っていない可能性が高い」と述べた。

 また「革新的な電子たばこ製品が、燃焼系たばこ製品から離れる助けになる限り、この規制は長期的に見ると、技術革新を阻害し、公衆衛生を損なうことになるかもしれない」と先行きを懸念した。(c)AFP/Kerry SHERIDAN