【5月6日 AFP】2013年に自転車界を永久追放された元ジロ・デ・イタリア(Giro d'Italia)覇者のダニーロ・ディルーカ(Danilo Di Luca)氏が、5日に発売された自叙伝の中で、自身を含む多くの自転車選手が「うそつき」と呼ばれることになった薬物まみれのキャリアについて「後悔はない」と述べた。

 第99回大会の開幕が6日に迫っているが、2007年のジロ・デ・イタリアを制したディルーカ氏は、その名声よりも、汚名によって自転車界で有名になった人物。3年前に自転車界を永久追放されたディルーカ氏だが、自分は他の選手のやり方に従っただけだと、今も主張している。

 また、自転車競技のダークな慣習は、プロの世界で「血の掟(おきて)」として今も守られているのだという。

 自叙伝「Bestie da Vittoria(勝利の野獣)」の中で、ディルーカ氏は「ドーピングをしなければ、勝つことはあり得なかった。何も後悔していない。うそもついたし、ずるもしたが、勝つために必要なことをしたまでだ」と述べている。

 ディルーカ氏は同書の中で、アマチュアだった1997年に禁止薬物を初めて摂取し、ワンデークラシックのジロ・デ・ロンバルディア(Giro di Lombardia)を制した2001年には、ドーピングが「より深刻な」ものになったと明かしている。

 2004年、ドーピングに関する電話での会話を盗聴され、禁止薬物使用の疑いが持ち上がったディルーカ氏は、ワンデーレースのスペシャリストとして名を上げていくのと同時に、2005年のジロ・デ・イタリアで総合4位に入賞し、さらにドーピング疑惑が深まった。

 2007年にジロ・デ・イタリアで初の総合優勝を飾ったディルーカ氏だが、検査でホルモンの数値が異常に低かったことが明らかになると、マスキング剤(体内にある禁止薬物を隠す薬品)の使用を裏付けるものではないかと騒がれた。

 その数週間後には、自転車ロードレースのシリーズ戦「UCIプロツアー」で首位に立ちながら、イタリア人医師を取り巻くドーピングスキャンダル「オイル・フォー・ドラッグス(Oil for Drugs)」に関与したとされ、3か月間の出場停止処分を受けた。