【5月6日 AFP】「アンネの日記(Diary of a Young Girl)」を記したユダヤ人少女、アンネ・フランク(Anne Frank)が所有していた童話集の本が5日、米ニューヨーク(New York)でオークションに出され、6万2500ドル(約670万円)で落札された。オークションを主催した米競売スワンギャラリー(Swann Galleries)が明らかにした。

 同社によると、「白雪姫」や「ヘンゼルとグレーテル」などを含む1925年版のグリム兄弟(Brothers Grimm)の童話集は、アンネと姉マルゴット(Margot Frank)が所有していたもので、2人の名前が本の扉のページに記されている。

 落札価格は当初の推定価格の2倍以上に上り、オークションは1分で終了したという。

■姉妹の父の手紙も

 アンネとマルゴットは、この童話集をオランダのアムステルダム(Amsterdam)のアパートに残して、ナチスから逃れるための隠れ家に移り住んだ。

 スワンギャラリーのウェブサイトによると、オランダのカップルが戦後間もなく、アムステルダムの古本屋でこの童話集を購入した。

 カップルが本に書かれたアンネとマルゴットの名前を発見したのは1977年。フランク一家の唯一の生存者で、2人の父のオットー・フランク(Otto Frank)氏の元に本を返したいと申し出たという。

 5日の競売には、フランク氏が1977年に書いた返事の手紙も含まれていた。

「お手紙から、私たちの身に起きた出来事に対する思いやりの気持ちが伝わってきました。私の子どもたちの形見として、あなたのお嬢さんにこの本を持ち続けていただければ幸いです」とフランク氏は書いている。(c)AFP