【5月3日 AFP】イングランド・プレミアリーグのレスター・シティ(Leicester City)は昨季、終盤に驚異的な巻き返しをみせて降格の危機を逃れると、その疲れを癒やす目的もあり、親善旅行でタイを訪れた。このツアーは、一部の選手が関わったセックステープが流出するスキャンダルに発展したものの、今季のレスターにとっては、誰も予想しなかったリーグ初優勝への転機となった。

 問題のビデオには、ナイジェル・ピアソン(Nigel Pearson)前監督の息子、ジェームス・ピアソン(James Pearson)をはじめとするレスターの3選手が、バンコク(Bangkok)のホテルでタイ人女性と乱交している様子が映し出されていた。

 複数の男性が笑っている姿が録画された映像は、たちまち英国のタブロイド誌に流出。選手らはタイ人女性に対して、「細い目だ」とアジア人への人種差別的な言葉を投げかけており、世間に衝撃を与えた。

 レスターのウィチャイ・シーワタナプラパー(Vichai Srivaddhanaprabha)オーナーは、タイの保守的なエリート層の一人として知られる実業家で、この遠征ツアーは熱狂的な地元サッカーファンにクラブを紹介する絶好の機会になると期待していたが、とんだ大恥をさらすことになってしまった。

 スキャンダルに関わった選手が即座に解雇されると、すでに英国メディアと対立関係にあったピアソン氏は、重圧にさらされることになった。

 そして昨年6月、ピアソン氏も監督職を解かれたが、レスターは解雇の理由について、単純に「根本的な考え方の違い」と述べるにとどまった。

 チームをプレミア残留に導いたピアソン氏を解雇したことで、ウィチャイ氏と息子のアイヤワット(Aiyawatt Srivaddhanaprabha)氏には批判が集中し、レスターの元スター選手であるギャリー・リネカー(Gary Lineker)氏も当時、オーナー側は「明らかに、何をしているのか分かっていない」とコメントしていた。

 しかし2週間後、経験豊富なイタリア人指揮官、クラウディオ・ラニエリ(Claudio Ranieri)氏が招へいされると、ここからチームは歴史的快挙を成し遂げることになった。