【5月3日 AFP】米国からキューバに向けて半世紀ぶりに出航したクルーズ船が2日、キューバの首都ハバナ(Havana)の港に到着し、両親の母国に降り立ったキューバ系米国人らはうれし涙を流した。

 冷戦(Cold War)時代の敵国同士の関係改善の一環で、新たな一歩が刻まれた。米クルーズ大手カーニバル(Carnival)社のアドニア(Adonia)号の乗客700人の中には、米国で生まれたキューバ系米国人や、幼少時に米国へ移り住んだ人たちも少数ながら含まれていた。

 ハバナではキューバ市民が両国の国旗を振り、入港してきた同船を携帯電話で撮影していた。大きな汽笛が鳴り響くと、待ち受けた人々から歓声が上がった。

 同船は、キューバからの移住者が多い米フロリダ(Florida)州マイアミ(Miami)から1日に出航していた。

 マイアミ生まれの弁護士の女性(47)は、「夜明けから涙が止まらない。ここにいるのが信じられない」と語った。女性の両親は、フィデル・カストロ(Fidel Castro)前国家評議会議長が革命を起こした直後にキューバを離れたという。

「両親や、一度も会ったことのないいとこたちが生まれた土地を見てみたいとずっと願ってきた」というこの女性は、「いとこに会うためにやってきた。この経験を一緒に分かち合いたい」と話した。

 港では、めいが下船してくるのを待っているというダンサーの女性(32)がAFPに対し興奮を抑えきれない様子で、「キューバと米国の国旗で歓迎している。全てが調和し、平和で、平穏であるよう祈って」と語った。

 カーニバルによると、今回が初めてとなった1週間のクルーズ旅行は今後月に2回ずつ行われ、両国の文化交流の促進を目指していくという。(c)AFP/Hector Velasco