【5月2日 AFP】半世紀ぶりとなる米国発キューバ行きのクルーズ船が1日、フロリダ（Florida）州から出航した。両国の関係改善に向けた新たな一歩となる。

　キューバへ向かったのは、米クルーズ大手カーニバル（Carnival）社が展開する「ファゾム（Fathom）」ブランドのアドニア（Adonia）号。キューバからの移住者が多い同州マイアミ（Miami）を午後4時（日本時間2日午前5時）ごろ出発した。

　乗客700人を乗せた同船は2日、最初の寄港地となるキューバの首都ハバナ（Havana）に到着する予定だ。

　同社によると、今後キューバへの1週間のクルーズ旅行は毎月2回行われる。2014年12月に両国の関係改善が始まり、昨年には国交回復が実現したことを受けて、文化交流の促進を目指しているという。

　クルーズ船のキューバ渡航は、先週許可されたばかり。ラウル・カストロ（Raul Castro）国家評議会議長率いるキューバ政府がキューバ人の海路による米国との往来規制を解除し、キューバ系米国人が船で米国へ向かうルートが開かれた。

　だが、規制が解除されたのがつい最近とあって、同日出航したクルーズ船に乗船したキューバ出身者は少なかった。

　アドニア号はハバナの他、シエンフエゴス（Cienfuegos）やサンティアゴデクーバ（Santiago de Cuba）に寄港し、アーティストやミュージシャン、事業主らとのミーティングに加え、ダンスクラスやガイドツアーといった文化活動も予定されている。

　両国関係の雪解け後も依然適用されている米国の通商禁止措置により、米国からキューバへの定期観光はまだ全面解禁されていないため、これは大きな前進といえる。

　1959年のキューバ革命以降途絶えていたクルーズ船の就航許可を両国政府から取り付けたのは、カーニバルが初めて。料金は1人当たり1800～7000ドル（約19万～74万円）。

　また、米国からキューバへ向かう飛行機の定期運航も今年中に再開される見通しとなっている。(c)AFP/Diego URDANETA