【5月1日 AFP】国連(UN)の専門家は先月29日、アフリカ南東部マラウイに推定1万人いるとされる先天性色素欠乏症のアルビノの人々について、体の一部を呪術に用いるなどのために殺人事件が相次いでおり、こうした状況が続けばアルビノの人々が「組織的に滅ぼされる」危機に直面すると警告を発した。

 国連が初めて起用した、自らも先天性色素欠乏症でアルビノの人権問題の専門家であるイクポンウォサ・エロ(Ikponwosa Ero)氏は、12日間にわたり現地調査を実施。その結果として、状況は「緊急を要している。(アルビノの)人口を脅かすほどの危機」だと報道陣に語った。

 エロ氏の呼び掛けに先立ち、マラウイの裁判所は先週、21歳のアルビノの女性を殺害したとして2人の男に対し、禁錮17年を言い渡した。警察の報道官によると、女性を殺害した女性のおじ(38)と共犯者は「罪を認めた」が、「自分たちの行動を悪魔のせいだとし、寛大な措置を求めた」という。

 エロ氏によると、アルビノの人々に対する襲撃や誘拐、殺人事件が2014年末以来、マラウイの警察に65件報告されているという。

 さらに同氏は、マラウイなどではアルビノの人体の一部を持っていると、「富を増やし、事業を繁栄させ、雇用を促進する」ことができるなどと信じられていることから、アルビノの人々が標的となってきたとし、「死後も、彼らは平穏ではいられない。遺体の一部が墓地から盗まれることがあるからだ」と語った。(c)AFP