【4月29日 AFP】オーストラリアにある世界遺産で世界最大のサンゴ礁、グレートバリアリーフ(Great Barrier Reef)の大半が、今後20年以内に死滅する恐れがあると警告する報告書が29日に発表された。気候変動によってサンゴの大量白化現象が加速するためだという。

 グレートバリアリーフでは、海水温上昇に伴って白化現象が史上最悪の規模に広がっており、既に全体の93%に被害が出ている。

 豪政府が支援する研究機関「オーストラリア研究会議気候システム科学センター(ARC Centre of Excellence for Climate System Science)」の専門家らがまとめた報告書は、温室効果ガスの排出量がこのまま増加を続ければ、サンゴの大量白化は常態化し、2030年代中ごろまでに1年置きに発生するようになると予測する。

 大規模な白化現象からサンゴが回復するには約15年かかることから「この先ほんの20年ほどで、グレートバリアリーフの大部分が失われてしまう恐れが高い」と同センターは警告している。

 研究者らによれば、グレートバリアリーフで白化現象が最初に確認されたのは3月。白化したサンゴが見つかったクイーンズランド(Queensland)州沿岸沖では、気候変動の影響で海水温が1度上昇していたという。(c)AFP