【4月27日 AFP】中国の農村部で、糖分と炭水化物が多い欧米型の食生活の弊害として、子どもたちの間に爆発的に広まっている肥満に対し、研究者らが警鐘を鳴らしている。

 中国東部・山東(Shandong)省での29年間に及ぶ子どもを対象とした調査で、1985年には男女とも1%未満だった肥満児が、2014年には19歳未満の男子の17%、女子の9%に増加していることが分かった。また過体重(太り過ぎ)は男子で0.7%から16.4%に、女子で1.5%から約14%にそれぞれ増加していた。

 同研究論文は27日に「欧州予防心臓病学ジャーナル(European Journal of Preventive Cardiology)」に掲載された。政府による6回の調査を通じて集めた、農村部の学校へ通う児童・生徒(7~18歳)2万8000人のデータに基づく。

 国連の体格指数(BMI)は、BMI25~29.9を過体重、同30以上を肥満としているが、この研究論文の著者はより厳しく、BMI24~27.9以上を過体重、同28以上を肥満としている。

 肥満に関するフランスの専門家、ダビデ・ノッカ(David Nocca)氏は「洋食、中でもカロリーが高く、砂糖を含む飲料がつく米国風のジャンクフードの普及がこうした現象の原因だ」と指摘している。

 同研究論文の共著者である山東省疾病予防抑制センター(Shandong Centre for Disease Control and Prevention)の張迎修(Zhang Ying-Xiu)氏は「中国は過去30年で、急速な社会経済的変化と栄養の変化を経験している。今日の中国では、昔よりもたくさん食べているのに体を動かすことが減っている。伝統的な中国の食事から、高脂肪・高カロリー、低繊維の食事に変わってきている」と述べている。

 今回の研究で、この傾向は7~12歳の児童の方が、それ以上の子どもよりも急速に強まっていることが明らかになった。しかも男子の方が肥満率が高いのは、男子に対する「社会的な選好」の結果、「男子の方が、家族の資力をより享受する立場にある」ためだろうと推測している。

 2005年の中国の「若者リスク行動調査(Youth Risk Behaviour Surveillance)」によると、男子の4.3%と女子の2.7%は頻繁にソフトドリンクを摂取していた。また男子の13%近くと女子の4.3%が、1日当たり2時間を超えてコンピューターゲームをしていた。

 一方、昨年発表された中国政府の報告によると、2012年の成人肥満率は9.6%に達し、10年間で2倍以上の伸びとなった。

 15年に米国心臓病学会誌「Journal of the American College of Cardiology」に掲載された論文は、中国では4人に3人が心臓血管が不良な状態にあると指摘している。心疾患は中国での主な死因となっている。(c)AFP/Mariëtte Le Roux