【4月26日 AFP】世界保健機関(WHO)は25日、ジカ熱への感染が「著しく増加」し、ジカウイルスが新たな地域に広がる可能性があるとして、警戒を呼び掛けた。

 これまでジカウイルスの感染範囲は、おおむね中南米とカリブ海(Caribbean Sea)地域に限られていたが、北半球が夏を迎え、同ウイルスを媒介する蚊が発生するのと同時に感染が拡大する可能性が高いという。

 WHOのマリーポール・キーニー(Marie-Paule Kieny)事務局長補はフランスのパリ(Paris)で開かれたジカウイルス関連の科学会議で、「季節が移り欧州で気温が上がり始めるにつれ、ジカウイルスを媒介することが分かっている2種類の蚊が発生し始める」「蚊に国境という概念はない」と述べた。

 さらに、ジカウイルスに感染している男性から性交渉によって女性に感染が広がるリスクもあることから、世界中で「ジカ熱や関連する合併症にかかる人の数が著しく増える可能性がある」と指摘した。

 キーニー氏は、特に警戒を要するのはアフリカだとしている。ジカウイルスが1947年に初めて発見されたのもウガンダだ。

 パスツール研究所(Pasteur Institute)が新たにまとめた報告によると、夏季に欧州の20か国に生息するヒトスジシマカが、熱帯地域のネッタイシマカほどの感染拡大をもたらす可能性は低いという。

 フランスの免疫学者、ジャンフランソワ・デルフレシ(Jean-Francois Delfraissy)氏も、 欧州内で感染する可能性もなくはないとしながらも、大流行に発展する可能性は「低いとみられる」と話している。(c)AFP/Mariëtte Le Roux