【4月21日 AFP】レイプ殺人の被害者となったオーストラリア人女性を冗談の種にして物議を醸したフィリピン大統領選候補のロドリゴ・ドゥテルテ(Rodrigo Duterte)氏(71)が、米豪両国の大使から非難されたことを受け、両国との国交を断絶する用意があると述べた。

 ドゥテルテ氏は20日夜の選挙遊説で「私が大統領になったら(米豪両国と国交を)断絶する」と語り、米豪両国の大使らに「黙れ」と警告した。

 ドゥテルテ氏は、同国南部ダバオ(Davao)の市長だった1989年に同市で起きた刑務所暴動でオーストラリア人修道女がレイプされ殺害された事件について、自分が最初にレイプしたかったと発言し、物議を醸している。

 アマンダ・ゴアリー(Amanda Gorely)駐フィリピン豪大使はツイッター(Twitter)で「レイプや殺人は決してジョークにしたり、矮小(わいしょう)化したりしてはいけない。女性や少女に対する暴力は、時と場所にかかわらず許されざる行為だ」と批判していた。

 その後、フィリップ・ゴールドバーグ(Philip Goldberg)駐フィリピン米大使もゴアリー豪大使の発言を支持し、CNNフィリピン(CNN Philippines)のインタビューで「女性をおとしめたり、レイプや殺人のような非常に深刻な問題を矮小化したりする発言は、誰の発言であれ、どこで行われた発言であれ、われわれが黙認するものではない」と語った。

 ドゥテルテ氏には、ダバオ市長在任中、殺人に関与する自警団を持ち、1000人以上の人々を殺害したとの疑惑がある。本人も選挙演説の際にしばしばこの殺人集団について触れ、1700人を殺害したと自慢したこともあったが、一方ではこの団体との関係を全面的に否認している。(c)AFP/Mynardo MACARAIG