ロンドン市長選の労働党候補をISと絡め攻撃、英首相発言が物議
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【4月21日 AFP】英議会下院で20日、デービッド・キャメロン(David Cameron)英首相が答弁に立った際、来月5日に行われるロンドン市長選の労働党候補について、イスラム過激派組織「イスラム国(IS)」の支持者とみられる人物と付き合いがあると批判し物議を醸している。
キャメロン首相の攻撃の的となったのは、人権派弁護士で閣僚経験もあるサディク・カーン(Sadiq Khan)氏。イスラム教徒で、パキスタン系移民のバス運転手の父親と裁縫師の母親の間に生まれた。ロンドン市長選では、富豪投資家を父親に持つ保守党のザック・ゴールドスミス(Zac Goldsmith)候補に対し優位に立っている。
英下院で質疑応答に立ったキャメロン首相は、カーン氏の地盤であるロンドン南部を拠点とするほぼ無名のイスラム教指導者、スレイマン・ガニ(Sulaiman Ghani)師に言及。「この男はISの支持者だ」と述べ、ガニ師の集会に9回も出席しているとしてカーン氏を批判し、「懸念を抱いている」と付け加えた。
この発言を受け、労働党議員からはキャメロン首相に対し「レイシスト(人種差別主義者)」との叫び声が上がり、ジェレミー・コービン(Jeremy Corbyn)労働党党首は首相の発言は「侮辱」に当たると指摘。匿名で取材に応じた労働党関係者は、このような主張を繰り返せば「首相官邸の品位を落とすことになる」と語った。
ロンドンは欧州でも有数の多様な民族が暮らす大都市だが、ボリス・ジョンソン(Boris Johnson)市長の後任を選ぶ市長選は、非難合戦の様相を呈しつつある。(c)AFP/Katherine HADDON