原発事故から30年、「見捨てられた」チェルノブイリ被害者
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【4月20日AFP】ロシアで年金暮らしをするアンナ・ベンデレンコ(Anna Venderenko)さん(70)は、自分の住む村では、人々が政府の援助が途絶える日を恐れながらチェルノブイリ(Chernobyl)原子力発電所事故の影響と日々闘っていると語る。
ベンデレンコさんが住むスタリエボボビチ(Starye Bobovichi)村は、隣国ウクライナにあるチェルノブイリ原発から北東に180キロ離れた場所にある。
1986年4月26日の夜、チェルノブイリ原発の4号炉で爆発が発生。大気中に放出された放射性物質は風に乗って運ばれ、ベンデレンコさんの村を含む広範囲の家や畑に降り注いだ。
村では住民らが生命を危険にさらす放射能と闘い続けているが、他のブリャンスク(Bryansk)州の数百の村や町と同様、人々が大きく頼る政府の支援が大幅に削減されることが決まった。
「私たちは見捨てられた」とベンデレンコさん。「医者はいなくなり、病院もなくなった。そしてもうすぐ薬もなくなる」
原発事故の直後、村は公式に「居住禁止区域」に指定されたが、住民らは移住を拒んだ。それから30年。村内の放射線レベルが低下したことを公式に認定する大統領令により、子どものサナトリウム滞在や治療に対する国の補助金が7月から削減されることになった。
しかし、専門家や地元住民は、ブリャンスク州の放射線レベルは1986年からわずかに下がっただけであって、衛生環境は今も厳しいままだと訴えている。
環境保護団体グリーンピース(Greenpeace)が最近企画したプレスツアーで、同団体の専門家ラシド・アリモフ(Rashid Alimov)氏は、スタリエボボビチ村の広場で放射線量計を指しながら「これは推奨放射線量の30倍以上です」と説明した。
今年、チェルノブイリ原発事故の影響を受けたロシアの4413か所の自治体のうち、383か所が援助を削減され、558か所が援助を完全に失う予定だ。
地元の生物学者アントン・コルサコフ(Anton Korsakov)氏は「この法令によって政府は、汚染区域を除染するには30年ではなくて2000年かかるという事実を認めるのを拒否しているのだ」と語った。同氏によると、ブリャンスク州の乳幼児死亡率は全国平均の5倍で、生まれた子どもの80%は慢性病を発症している。