【4月22日 AFP】6世期中ごろに2度発生した火山の噴火によって、欧州地域は長期にわたって光が遮られ、中世ヨーロッパのいわゆる「暗黒時代」の到来を告げるものとなっていた可能性がある──研究成果が22日、オーストリア・ウィーン(Vienna)で開催の科学会議で発表される。

 研究を率いた独キール(Kiel)の「GEOMARヘルムホルツ海洋研究センター(GEOMAR Helmholtz Centre for Ocean Research)」の気象専門家、マシュー・トゥーイー(Matthew Toohey)氏は、欧州地球科学連合(EGU)総会でAFPに対し、536年と540年に起きた2つの噴火の「どちらかが地表の著しい冷却を招いた可能性がある」が、「この2つの噴火をまとめると、過去少なくとも1500年間で北半球の気象に影響を与えた最も大きな噴火現象だったとみられる」と述べた。

 同氏によると、これら噴火の影響で平均気温が2度下がり、過去2000年間で最も寒い10年間となったと考えられるという。

 日光を遮る硫黄粒子が成層圏に充満したことで起きた突然の気温低下は、農耕活動に壊滅的な影響を与え、欧州の大半とその隣接地域に大規模な食糧不足をもたらした。

 さらに広い意味で捉えると、この2つの噴火は、古代の末期と、その後の「暗黒時代」と呼ばれる社会的な衰退と混乱が長く続いた時代を分ける転換点になったとも考えられる。

 536年に空を覆った「謎の雲」については、当時に言及されていた。ローマ(Rome)に暮らしていたビザンチン(Byzantine)帝国の歴史家プロコピウス(Procopius)は、その時の様子を終わらない日食になぞらえ、「その年中ずっと、太陽が発する光に明るさはなく、月のようだった」と記している。

 研究は、英科学誌ネイチャー・クライメート・チェンジ(Nature Climate Change)に今週発表された。(c)AFP/Marlowe HOOD