108年後に発見の「瓶入りメッセージ」、世界最古と認定
このニュースをシェア
【4月21日 AFP】ドイツで回収された「英国の海洋研究所に返送すれば、見返りに1シリングを渡す」と書かれた108年前の郵便はがきが、世界最古の「瓶入りのメッセージ」として正式に認定された。
返送されたはがきを受け取った英国海洋生物学会(MBA)のプリマス研究所(Plymouth Laboratory)は今週、これまでギネス世界記録(Guinness World Records)で最古とされていた99年と43日の記録を、この瓶入りメッセージが打ち破ったと発表した。
この瓶は、発見された日から108年と138日前の1906年11月30日に、著名な海洋生物学者のジョージ・パーカー・ビダー(George Parker Bidder)氏が英国沖の北海(North Sea)に投入したもので、ドイツの北フリジア諸島(North Frisian Islands)に休暇で来ていた同国の定年退職した郵便局員、マリアンネ・ウィンクラー(Marianne Winkler)さんによって発見された。
ウィンクラーさんは、「瓶を割って」と書かれたメッセージに従い、内部から英南岸のプリマス(Plymouth)にあるMBAに返送するよう書かれたはがきを取り出した。
MBAのガイ・ベーカー(Guy Baker)氏は「はがきには、瓶をどこで発見したか、トロール網で引き揚げられたかどうか、トロール船の名称は何かなどに関する情報を発見者に記入してもらうように書かれていた。そして、記入完了後、速やかにプリマスのジョージ・パーカー・ビダー宛てに返送すれば、見返りとして1シリングを渡すと書かれていた」と話す。
ウィンクラーさんからビダー氏宛ての手紙が届いたとき「研究所の担当者は少々困惑していた」という。
ビダー氏は1904~06年に、合計で1020本の瓶入りメッセージを海に投入。そして、北海南部の海底に沈んだ多くの瓶が、英国に打ち上げられた一方で、海面を漂流していた瓶は欧州本土に向けて移動したことを発見した。
この結果からビダー氏は、北海の深層流が東から西に向かって流れていると、世界で初めて推定した。
MBAは今も国際的に有名な研究所であり、ビダー氏は1939年から45年まで同所の所長を務め、1954年に91歳で死去した。
MBAは、瓶入りメッセージの約束を守り、発見者のウィンクラーさんに感謝状と古い1シリング硬貨を贈った。(c)AFP