【4月15日 AFP】オーストラリアにある世界最大のサンゴ礁、グレートバリアリーフ(Great Barrier Reef)の一部のサンゴは、水温の上昇に対する適応力があることで知られているが、こうした防御機能が近い将来に消失する可能性があるの研究論文が14日、発表された。

 米科学誌サイエンス(Science)に掲載された研究結果によると、海面水温が現在より0.5度上昇した場合、同サンゴ礁で大規模な白化現象が急速に進む可能性があるという。

 研究チームは、グレートバリアリーフを衛星で観測した27年間分の記録を分析し、その原因が水温上昇ストレスに対するサンゴ固有の反応と関係があることを突き止めた。

 論文の主執筆者であるジェームズクック大学(James Cook University)オーストラリア研究会議(ARC)サンゴ礁研究チーム(Centre of Excellence for Coral Reef Studies)のトレイシー・アインズワース(Tracy Ainsworth)氏によると、水温が上昇し始め、白化が始まる数週間前の前ストレス期になると、サンゴは予行練習のようにその準備を始める。こうしたパターンに慣れたサンゴは、ストレスを受けにくくなり、耐性も増すという。

 だが、海面水温が過去30年以上の記録から算出された月間の平均海面水温よりも2度以上高くなると、こうした防御機能は失われ、より多くのサンゴが損傷を受ける可能性がある。

 これまでの温暖化のペースを基にすると、海面水温は今後40年以内に約0.5度上昇すると予測され、その際にはこれまで防御機能が働いていたサンゴの大半が白化し始め、何度も白化を繰り返すようになるという。

 共同執筆者である米海洋大気局(NOAA)コーラル・リーフ・ウオッチ(Coral Reef Watch)のスコット・ヘロン(Scott Heron)氏は、将来、夏に海面水温が上昇した際、防御機能を失くしたサンゴはより頻繁に、より深刻に白化する可能性があると指摘。サンゴの死滅や急速な減少に対するリスクが高まると述べた。

 先月実施されたグレートバリアリーフの上空からの調査で、サンゴの白化現象が過去最悪の600マイル(数千キロ)に及んでいることが明らかになっている。(c)AFP