【4月9日 AFP】インド東部ビハール(Bihar)州で、健全な市民生活を目指して導入された禁酒令によって、酒が伝統的な奉納品とされてきた寺院に参拝者が寄り付かなくなるという予想外の事態が発生している。

 ビハール州首相のニティシュ・クマール(Nitish Kumar)氏は今週、選挙公約だった禁酒令を発令した。貧困にあえぐ同州では、特に家計が酒に消えることにうんざりしている女性たちの間でこの動きは支持された。

 だが、この法律は多くのヒンズー教の寺院では評判はよくない。酒を出す店が軒並み閉まってしまい、参拝者の数が激減したからだ。ある僧侶によれば、参拝者は約70%も減ったという。酒を供えるのは婚礼や宗教的な祝祭など特別な機会という人が多いが、中には毎日奉納していた信者もいたという。信者の間からは、宗教的理由で持ち込む酒類は認めるよう、法律を緩和してほしいとの声が上がっている。

 しかし、州政府側は妥協する姿勢は見せていない。ある高官は「どんな理由であっても酒類の販売や消費は認めない。信者は禁止されている物以外の物を納めればいい」と語った。(c)AFP