【4月9日 AFP】温暖化の影響で地球の気温は従来の予測より大幅に高くなる可能性があるという論文が今週、米科学誌サイエンス(Science)に掲載された。これまでの科学的モデルには雲の作用が正確に反映されていないためだという。

 一般的に、大気中の二酸化炭素が倍増することによって地球の気温は2.1~4.7度上昇すると予測されている。

 しかし、今回論文を発表した米エール大学(Yale University)と米ローレンス・リバモア国立研究所(Lawrence Livermore National Laboratory)の研究チームは、こうした科学的モデルでは雲が太陽光を反射して地球の大気の温暖化を妨げる作用が過大評価されていると主張している。

 論文の主著者でエール大学のアイビー・タン(Ivy Tan)氏は、気温上昇幅はこれまでの科学的モデルでは4度だったが、雲に含まれる液体と氷の量を観測結果に近付くように修正した各種モデルでは5~5.3度になることが分かったと述べた。

 雲に含まれている氷が多い場合、気温が上昇すればより多くの液体を生じ、雲の中の液体が増えれば温暖化は抑制される。しかし大半の科学的モデルでは、雲に含まれる氷の量が実際より多く見積もられているという。

 共同執筆者のマーク・ゼリンカ(Mark Zelinka)氏は「温暖化抑制についていえば、雲は私たちの役に立ってくれそうにない」と述べた。同研究は、米航空宇宙局(NASA)と米エネルギー省科学部の資金で行われた。(c)AFP