密入国の冷蔵車で酸欠の危機、アフガン少年 携帯電話で命を救う
このニュースをシェア
【4月9日 AFP】英国に密入国を図る人々と共に冷蔵車に乗せられていたアフガニスタン人の少年が、携帯電話で電子メールを送って助けを求め、自身と他14人の大人の命を救った。救出した支援団体職員が8日、明らかにした。
年齢6~7歳とみられるアハメド(Ahmed)君は、フランスの移民キャンプで支援活動家のインカ・ソレル(Inca Sorrell)さんから手渡された携帯電話を使って、冷蔵車の中が酸欠になり窒息しそうだとソレルさんにテキストメッセージを送った。
米ニューヨーク(New York)での会議出席中にメッセージを受け取ったソレルさんは、英国にいる同僚のターニャ・フリードマン(Tanya Freedman)さんに連絡。フリードマンさんが警察に通報した。
警察は携帯電話から車の位置を探知して制止し、乗っていた全員を移民当局に引き渡した。
英国の団体「ヘルプ・レフュジーズ(難民を救え、Help Refugees)」の職員であるフリードマンさんは「驚くべき話だ。世界規模のネットワークで人命が救われた。その先頭に立ったのがこの少年だ」とAFPに語った。
ソレルさんがアハメド君に出会ったのは、フランス北部の港湾都市カレー(Calais)郊外にある大規模な移民キャンプ、通称「ジャングル(Jungle)」にある児童センターだ。ここでは、英国に渡航しようとする大勢の難民や経済移民が待機しており、不法入国を試みる者も多い。
先月、撤去作業が進むジャングルで、ソレルさんは自分の電話番号を入れた携帯電話をアハメド君に渡し、身に危険が迫ったら連絡するよう指示していた。
アハメド君のテキストメッセージは、「助けて。運転手が止まってくれない。車の中の酸素がなくなる。助けを呼べない。今、コンテナの中にいる。嘘じゃない。ワッラ(アラビア語で「私は誓う」の意味)」とブロークンな英語で書かれていた。
警察は7日、この冷蔵車を英イングランド(England)中部レスターシャー(Leicestershire)州の高速道路のサービスエリアに停車させ、密入国容疑で14人を、移民を英国に密入国させた容疑で男1人を逮捕したことを明らかにした。「トラックの中で発見した児童1人」は保護したという。アハマド君は20歳前後とみられる兄と一緒だった。(c)AFP