【4月7日 AFP】超大質量ブラックホールが宇宙の予想外の場所で見つかったとの研究論文が6日、発表された。論文によると、怪物級のブラックホールが、これまで考えられていたよりはるかにありふれた存在であることを示唆する発見だという。

 米カリフォルニア大学バークレー校(University of California, Berkeley)の天文学者チームは、推定質量が太陽の170億個分の超大質量ブラックホールが見つかったのは、宇宙の比較的不毛な領域だと、英科学誌ネイチャー(Nature)に掲載の研究論文で述べている。

「超大型ブラックホールは、大都会のマンハッタン(Manhattan)地区で摩天楼を見かけることのように、宇宙の混雑した領域にある巨大銀河内で見つかることが当然とされる一方、宇宙の田舎町でそれらを発見できる可能性は低いと思われていた」と同大の声明は述べている。

 だが、これまで、恒星が豊富にある大型の銀河で超大質量ブラックホールが見つかったケースはほとんどない。

 今回新たに発見された超大質量ブラックホールが存在する銀河「NGC1600」のような、より小型の銀河の方が、発見事例ははるかに多いが、超大質量ブラックホールを宿す銀河としてはふさわしくないと以前は考えられていた。

 論文共同執筆者の馬中珮(Chung-Pei Ma)氏は「ここで一つの疑問が生じる──『これは氷山の一角なのか』という点だ」と指摘する。

 そして「おそらく宇宙には、マンハッタンの摩天楼ではなく、米中西部の平原地帯のどこかにある高層ビルに住んでいるような超巨大ブラックホールが、はるかに多数存在しているのかもしれない」と述べた。

 超大質量ブラックホールの起源については、まだあまり解明が進んでいない。

 論文の執筆者らによると、これまでに発見された中で最大の超大質量ブラックホールは、その質量が太陽の約210億倍にも上るという。(c)AFP