世界自然遺産の約半分、産業活動の脅威にさらされている WWF
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【4月6日 AFP】国連(UN)が未来の世代のために保存したいと望んでいる世界自然遺産のほぼ半分が、採鉱、石油探査、違法伐採などの産業による脅威にさらされていると、世界自然保護基金(WWF)が6日、明らかにした。
WWF委託の報告書によると、脅威にさらされている自然遺産114件は、食料、水、住まい、医薬品などを1100万人以上の人々に供給している。
WWFのマルコ・ランベルティーニ(Marco Lambertini)事務局長は報告書の序文で、「これら自然地域の明白な恩恵にもかかわらず、われわれはいまだに経済開発を環境の悪化から切り離せないでいる」とし「それどころか、われわれはあまりにも頻繁に、社会的・環境的リスクを顧みることなしに、石油、ガス、鉱物の探査の利権を認めたり、大規模な産業プロジェクトを計画したりしている」と述べている。
世界遺産には3つの種類があり、国連教育科学文化機関(UNESCO、ユネスコ)は、802件の文化遺産の他に、世界96か国で197件の「自然」遺産と32件の「複合」遺産を登録している。両遺産を合わせた229件には、国立公園、自然保護区、森林、サンゴ礁、島、沿岸部が含まれている。
報告書によると、これらの遺産のうちの40件で石油またはガスの利権が、42件で採鉱の利権が認められている。また、28件がダムと持続不可能な水資源の利用の危険に、20件が道路または鉄道建設の危険にさらされている。さらに、多くの自然遺産は2つ以上の脅威にさらされているという。
報告書の大部分は、ユネスコの自然遺産の監視にあたる国際自然保護連合(IUCN)のデータを基にしている。自然・複合遺産の合計面積は地球表面積の約0.5%にあたる2億7900万ヘクタール。
報告書によると、世界遺産の3分の2は水供給に重要で、90%以上は観光やその他の産業で雇用を提供、また50%以上は洪水防止に役立っており、潜在的に有害な炭素を蓄えている。
サハラ以南のアフリカは自然遺産が危険にさらされている割合が最も高く、登録遺産42件の71%が影響を受けている。次いで12件が登録されている南アジアの58%、55件の東アジア・太平洋の55%、41件の中南米・カリブ海の54%となっている。
欧州と中央アジアの状況はまだ良く、54件の登録遺産の30%が幾つかの脅威に直面している。(c)AFP/Mariëtte Le Roux