【4月4日 AFP】昨年3月に旅客機を故意に仏アルプス(Alps)山中に墜落させた独格安航空ジャーマンウイングス(Germanwings)のアンドレアス・ルビッツ(Andreas Lubitz)副操縦士(当時27)の両親が、事件から1年を機にドイツ紙に息子を哀悼する声明を掲載し、遺族らの逆鱗(げきりん)に触れている。

 自身を含め乗客乗員150人が乗ったエアバス(Airbus)A320型機を墜落させたルビッツ副操縦士の両親は、息子を失った自分たちに対する友人や隣人の支援に感謝する旨の声明を地元の新聞に掲載した。ルビッツ副操縦士の名前である「アンドレアス」というタイトルに笑顔の顔写真が添えられた短いメッセージは、最後に太字で「あなたを失って寂しいけれど、今も、いつまでも、あなたは私たちの心の中にいる」との言葉で締めくくられていた。一方で、昨年は「恐怖に満ちた」1年だったと述べ、墜落で亡くなった149人について明確には触れていなかった。

 乗客の中に息子がいたというユルゲン・フィッシェニヒ(Juergen Fischenich)さんは独日刊紙ビルト(Bild)に対し、ルビッツ副操縦士の遺族の悲しみ方が理解できないと述べ「公に感謝を示しておきながら、この人物(ルビッツ副操縦士)が殺した他の149人のことについてまったく触れないとは、どれだけ無神経で非礼というか、表現のしようがない」と語った。

 搭乗時24歳で死亡したセバスティアン(Sebastian)・Sさんの両親は、弁護士を通じて怒りの声明を発表した。ビルト紙によれば「ルビッツ氏の家族の感謝の声明では、彼らの息子がまるで大切な人物のように述べられている。私たちの怒りは到底、言葉にできない」という内容だった。

 同機の墜落に関する捜査では、ルビッツ副操縦士にうつ病の既往歴と自殺傾向があったことが分かっている。また同副操縦士は過去数年間に数十回にわたって医師の診察を受けていたにもかかわらず、操縦を許可され続けていた。こうしたことから操縦士の健康診断や、患者に対する医師の守秘義務などに関し、疑問が投げかけられている。(c)AFP