■銃をしのばせた3匹の子ブタ?

「赤ずきん」は今年1月、NRAが手を加えた童話の第1弾として公開された。近々、「3匹の子ブタ」の改変版も公開される予定だ。

 またNRAは、ハミルトン氏が改作した「ヘンゼルとグレーテル」もウェブサイトで公開している。この中で2人は森の中に入るが、「幸い、銃の安全な使い方を教わっていたし、これまでずっと両親と一緒に猟もしていた」ため、「トラブルに巻き込まれたときに自分の身を守る方法を知っていた」と語られている。

 これまでNRAを繰り返し非難してきた米市民団体「銃暴力防止のためのブレイディ・キャンペーン(Brady Campaign to Prevent Gun Violence)」は、これらの改変童話について、とりわけ厳しく批判している。

 同団体のダン・グロス(Dan Gross)代表は「これは不愉快で、道徳観に欠けたマーケティングキャンペーンだ」と述べ、「NRAは、米国のこんなにも幼い手にまでも銃を握らせようとしている」と批判。米国では毎日50人近くの子どもたちが銃の犠牲となっていると指摘した。

 先月、新たに発表された研究結果によると、米国の銃器業界は最年少で6歳の子どもを対象にしたカラフルな銃を販売したり、子どもが小さいうちから銃を撃ち始めさせるよう親に働きかけたりしている。

 銃による暴力の撲滅を目指す米非営利団体「バイオレンス・ポリシー・センター(Violence Policy Center)」は、銃器業界が、これまで顧客の主力だった白人男性の高齢化が進んでいるため、幼い消費者を対象に販売活動をしていると指摘している。

 米国には、人口よりも多い3億5000丁の銃器があるとされ、年間で3万人が銃により死亡。主な死因は自殺だ。(c)AFP/Sébastien BLANC