【4月12日 AFP】銃声の鳴り響くウクライナ東部ルガンスク(Lugansk)に、サッカー元ブラジル代表の伝説ペレ(Pele)氏を「祭った」世界初の神殿がある。そしてここは、約2年に及ぶ戦時下で、奇跡的に難を逃れている。

 入り口にペレ氏の銅像と巨大なサッカーボールが置かれ、ブラジル代表カラーの黄金と緑を基調とする神殿を建設したのは、憧れの英雄に倣い、たばこやアルコールには決して手を出さず、慎み深い生活を送っているという55歳のニコライ・クドビン(Nikolai Khudobin)氏だ。

 クドビン氏は、サッカー界の王様であるペレ氏に関する数々の記念品に囲まれながら、「家族、サッカー、そしてペレが私の人生です」と語る。

「ビールも飲んだことはありません。ペレが健康的なライフスタイルに導いてくれたから、それに励まされています」

 クドビン氏の建物は、20世紀最高の選手と評されるペレ氏にささげた世界初の記念館として、国際サッカー連盟(FIFA)にも認定されている。

 この記念館は、ウクライナが共同開催した2012年の欧州選手権(UEFA Euro 2012)期間中にオープンしたものの、同国と親ロシア分離派との間に紛争が起こったため、この2年間は閉館している。

 一方、ペレ氏が15歳でキャリアを歩み始めたブラジルのサントス(Santos)市に、地元の英雄である同氏の博物館が建てられたのは、2014年のことだった。

 クドビン氏は、「記念館をオープンしたとき、ブラジルの親善大使は、私を抱きしめて泣き出しました。遠く離れたルガンスクでも、ペレがこよなく愛されていたことが信じられなかったのです」と振り返った。