【3月29日 AFP】ベルギーの検察当局は28日、首都ブリュッセル(Brussels)で先週起きた連続テロに関連して訴追していた唯一の容疑者を、証拠不十分で釈放した。ベルギー当局の事件への対応を改めて疑問視する声が上がっている。

 検察は26日、この男性を「フェサル・C(Faycal C)」容疑者として「テロ行為による殺人」などの罪で訴追し、ブリュッセルの空港で自爆に失敗し逃走した3人目の実行犯、いわゆる「帽子の男」とみて取り調べていた。

 しかし、28日の検察の声明によると「フェサル・C容疑者の逮捕につながった証拠は、これまでの捜査で実証できなかった。そのため容疑者は釈放された」という。

 捜査に近い情報筋は、AFPの取材に「捜査当局としては、フェサル・C容疑者は『帽子の男』ではなかったとの結論に達した」と述べた。

 ベルギー当局は昨年11月の仏パリ(Paris)同時テロをめぐり、関与したイスラム過激派ネットワークの摘発につながる手掛かりを幾つも見逃していたとして批判を浴びており、今回の容疑者釈放を受け、改めて対応を問題視する声が出ている。(c)AFP/Danny KEMP