「反ワクチン」映画、米映画祭から取り下げに デ・ニーロ氏発表
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【3月28日 AFP】ワクチンと自閉症との関連性を主張した英国の医学研究者によるドキュメンタリー作品が、米ニューヨーク(New York)で来月開催される「トライベッカ映画祭(Tribeca Film Festival)」から出品を取り下げられたと、同イベントの創設者で俳優のロバート・デ・ニーロ(Robert De Niro)氏が明らかにした。
映画「Vaxxed: From Cover-UP to Catastrophe」をめぐっては、出品作品に含めたことで、信頼性の低い調査結果から生じたワクチン反対運動を映画祭が支持しているとみられるとして、批評家から抗議の声が上がっていた。
自閉症の子どもがいるデ・ニーロ氏は声明を発表し、作品の上映は、同氏やその家族にとっては身近な、この問題を議論するきっかけを提供する意図が込められていたが、映画祭のスタッフや科学の専門家らと数日間検討した結果、同氏が期待していたような議論やそれ以上の成果に結びつくことはないとの結論に達したと述べた。
同映画の監督を務めたアンドルー・ウェークフィールド(Andrew Wakefield)氏は1998年、はしかとおたふく風邪、風疹の新3種混合(MMR)ワクチンと自閉症との間に関連性があるとする論文を発表。医療関係者によれば、論文がきっかけでワクチン反対運動が起き、はしかのような予防可能な小児疾患が大流行して多くの死者が出たという。
論文を調査した英医事委員会(GMC)は、ウェークフィールド氏が研究成果の発表において「不正」を行ったと結論付けた。
また、英医学誌ランセット(The Lancet)も、一部が改ざんされていたとして同論文の掲載を撤回。ウェークフィールド氏はその後、英国での医療行為を禁じられた。(c)AFP