【3月23日 AFP】地球温暖化に対し、植物は科学者が想定したよりも幾分うまく適応しているとする最新の研究結果が21日、米科学アカデミー紀要(Proceedings of the National Academy of SciencesPNAS)に発表された。植物が温暖化の加速に及ぼす影響は、科学者が考えるほど大きくないことを示唆するものだ。

 気温が上昇すると植物の呼吸は盛んになる。この呼吸によって、温室効果ガスである二酸化炭素(CO2)が排出される。このため科学者の間では、人間の活動によって地球の温暖化が進むにつれて植物のCO2排出量も増え、温暖化に拍車を掛けかねないと考えられている。

 植物は通常、日中に光合成を通じてCO2を吸収し、夜間には呼吸だけを行ってCO2を排出する。ただ、光合成によるCO2吸収量は、呼吸によるCO2排出量よりもはるかに多い。

 ところが、論文の共著者の一人である米コロンビア大学(Columbia University)ラモントドハティ地球観測研究所(Lamont-Doherty Earth Observatory)の植物生理学者、ケビン・グリフィン(Kevin Griffin)氏によれば、今回の新たなモデルに基づくと、一部の生態系では葉のCO2排出量は以前の想定よりも大幅に少なくなると予測される。

 研究結果によると、気温上昇に伴うCO2排出量の増加ペースは、あらゆる地域で予測可能な形で鈍化することが分かった。新たに定義された曲線では、推定呼吸量がとりわけ最も寒冷な地域で急激に落ち込むという。

 論文の筆頭著者である米ウッズホール海洋生物学研究所(MBL)のメアリー・ヘスケル(Mary Heskel)氏は今回の研究について「植物におけるCO2貯留量」の見積もりの他、大気中のCO2濃度や将来の地表面温度の予測に極めて有用だとしている。(c)AFP