ベルギー連続テロ、計画は「前倒し」されたのか?
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【3月23日 AFP】ベルギーの首都ブリュッセル(Brussels)の空港と地下鉄駅で22日に発生した連続テロは、犯行声明を出したイスラム過激派組織「イスラム国(IS)」が、取り締まりの強化にもかかわらず依然として欧州で多数の犠牲者を出す攻撃を実施する能力があることを示したと、専門家らは指摘している。
■支配地を失えば失うほど攻撃を「輸出」
匿名でAFPの取材に応じたフランス対テロ当局の幹部は今回の攻撃について、昨年11月に起きたパリ同時テロ実行グループの中で生き残り、逃走を続けていた最後のメンバーとされるサラ・アブデスラム(Salah Abdeslam)容疑者が、4日前にブリュッセルで拘束されたことに対する直接的な報復だとの見方は退けた。
同幹部はISがパリでの事件にアブデスラム容疑者が関与したことを認めていないことを指摘し、これは同容疑者が実行直前に自爆計画を放棄したためではないかと推測している。
22日のブリュッセルでの事件はむしろ、ベルギー国内での警察の取り締まりに対する報復の可能性の方が高いという見方を同幹部は示した。警察の取り締まりとは2015年1月にベルギー警察が同国東部ベルビエ(Verviers)でイスラム過激派2人を殺害、1人を逮捕した捜索などのことだ。
同幹部は「彼らは『何人か捕まっても、われわれはまだいる。止めることなどできない』ということを見せつけたいのだ」と説明した。
ブリュッセルの事件は、ISが拠点とするイラクやシリアで支配地域を減らす中で起きた。「ISがシリアで支配地域を失えば失うほど、ますます攻撃を輸出してくるだろう」と同幹部は警戒する。