【3月23日 AFP】カナダの最大都市トロント(Toronto)のロブ・フォード(Rob Ford)前市長が、がんとの闘病の末、22日に死去した。46歳だった。家族が発表した。フォード氏は現職当時、喫煙タイプのコカイン「クラック」の使用が発覚して国際メディアの注目を集めた。

 2010年にトロント市長に就任したフォード氏は13年、クラックの使用を認めつつも辞任を拒否。さらに飲酒問題を抱えていることも認め、世界中から悪評を買った。

 同氏がクラックを使用している様子を撮影したとみられる動画が流出した直後、同氏は自身の心の中の悪魔を抑えきれずにいると語り、更生施設に入所。一方で、常軌を逸した言動が徐々に目立つようになった。

 市長辞任を拒否したフォード氏に対し、市議会は不品行を理由に権限を剥奪。それでも同氏は、市民からは比較的大きな支持を得ていた。

 2014年には再選を目指して立候補する意向を示していたが、がんと診断され、化学療法に専念するため出馬を断念。兄のダグ・フォード(Doug Ford)氏が代わりに立候補したが、穏健保守のジョン・トリー(John Tory)氏がダグ氏を破って新市長に就任した。

 トリー市長は前市長の訃報に接し、「トロント市民を代表し、心からの哀悼の意」を表明。フォード氏は「実に人間らしい人物だった」と評し、市民から惜しまれるだろうと述べた。(c)AFP/Jacques LEMIEUX