【3月22日 AFP】(更新、写真追加)欧州連合(EU)の本拠が置かれているベルギーの首都ブリュッセル(Brussels)で22日、ブリュッセル国際空港(Brussels Airport)と市内の地下鉄駅で相次いで爆発が発生し、これまでに死者35人、負傷者200人以上が出ている事態を受け、欧州全域の空港や交通機関で緊急厳戒態勢が敷かれた。

■混乱する首都圏の交通

 ブリュッセル首都圏の交通は、地下鉄から列車、路面電車、バスまで全面的に停止し、空港は発着全便の運航が止まっている。同圏公共交通事業者「STIB」もツイッターで「バス、路面電車、地下鉄は閉鎖」と発信している。また別の当局情報によると、圏内の主要駅も閉鎖されている。ブリュッセルの危機管理当局は、住民に「現在地から動かないよう」呼び掛けている。

■EU職員には待機指示

ブリュッセルには欧州28か国が加盟するEUの本部が置かれており、爆発があった地下鉄のマルビーク(Maalbeek)駅近くにはEUの庁舎群がある。EUの政策執行機関に相当する欧州委員会(European Commission)では、朝のラッシュアワーに起きた駅での爆発後、職員らに自宅に待機するか屋内にとどまるよう指示を出した。

■空港は欧州全域で警戒強化

 隣国フランス、ドイツ、オランダ、さらに英国などの空港では一斉に警戒レベルが引き上げられた。

 仏パリのシャルル・ドゴール空港(Charles de Gaulle International Airport)では、国際空港の8つのターミナルすべてと2つの地下鉄駅に治安要員が全面展開し、ブリュッセルから到着する列車ではセキュリティーチェックが強化されている。

 英ロンドンのガトウィック空港(Gatwick Airport)も、警備の増強とパトロールの強化を行ったと発表。

 オランダの対テロ当局も、スキポール(Schipol)、ロッテルダム(Rotterdam)、アイントホーフェン(Eindhoven)など国内空港の警戒レベルを引き上げ警官の巡回を強化し、またベルギーと接する南側の国境警備も強化している。

■「欧州に対する攻撃」

 ブリュッセルでの爆発について、スウェーデンのステファン・ロベーン(Stefan Lofven)首相はスウェーデン通信社(TT)に対し「民主的な欧州に対する攻撃だ。われわれの開放的な社会に対するテロリストたちの攻撃を決して許さない」と述べた。またデンマークのラース・ロッケ・ラスムセン(Lars Lokke Rasmussen)首相はツイッターで「卑劣な攻撃だ」と非難した。

 英国のデビッド・キャメロン(David Cameron)首相は「ブリュッセルでの出来事に衝撃を受け、憂慮している。わが国にできるすべてのことを行う」とツイートを発信。緊急閣議を開く見込みだ。(c)AFP