【3月23日 AFP】英ロンドン(London)南部のブリクストン刑務所(Brixton Prison)の中庭に、レストラン「クリンク(The Clink)」はある。革張りの椅子やガラスのテーブル、価格はロンドンにある他のレストランと何ら変わりはないが、違うのはナイフやフォークがすべてプラスチック製で、窓から見える景色が鉄条網だということだ。

 受刑者らが調理や給仕をするこのレストランは毎日、最大120人の客にランチを提供している。酒類はなく、客は店内に携帯電話やノートパソコンを持ち込めない。

 この日、料理の特別クラスで教えていたのはロンドンにあるフランス大使館の料理長、ジル・キヨ(Gilles Quillot)氏。当初は刑務所に来ることが不安だったというキヨ氏だが、今では受刑者らを「すばらしい」と語り、「1人か2人を、すでにリクルートした」ほどだという。

 クリンクは、受刑者らに釈放後の新しい生活に必要な技術や資格を身に着けさせることを目的に、慈善団体「クリンク・チャリティー(The Clink Charity)」が運営している。

 ブリクストン刑務所は1819年に建設された英国で最も古い刑務所の1つで、過去には、ミック・ジャガー(Mick Jagger)さんが麻薬事件で有罪になり収監されたこともある。(c)AFP/Alice RITCHIE