テニス界の男女同権問題、ジョコビッチ発言で過熱
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【3月22日 AFP】(更新)男子テニス、世界ランク1位のノバク・ジョコビッチ(Novak Djokovic、セルビア)が、観客を多く動員する男子は、女子よりも高額の賞金を得るべきだと示唆し、テニス界の男女同権問題に新たな物議を醸している。
BNPパリバ・オープン(BNP Paribas Open 2016)の男子シングルスで、前人未到となる5度目の優勝を飾ったジョコビッチは、大会ディレクターのレイモンド・ムーア (Raymond Moore)氏が、女子テニス協会(WTA)は男子の人気に便乗していると発言したことについて、間違った表現だと批判し、女子選手は「自分たちの力で、あの地位を手に入れた」との見解を示した。
その一方でジョコビッチは、「男子テニス界、つまり男子プロテニス協会(ATP)は、より多くを求めるべきだと思う。なぜなら、男子の試合の集客力の方が高いということが、データで分かっているからだ」と述べた。
「それもあって、僕らはもっと報われるべきだと思う」
BNPパリバ・オープンの大会ディレクターを務める元テニス選手のムーア氏は、20日朝に行われた記者会見で、「もし私が女子選手だったら、毎晩ひざまずいて神に感謝するだろう。テニス界をけん引する、ロジャー・フェデラー(Roger Federer、スイス)やラファエル・ナダル(Rafael Nadal、スペイン)が生まれてきたことをね」と発言し、現女王セレーナ・ウィリアムス(Serena Williams、米国)らから批判を浴びていた。
女子テニス界の伝説マルチナ・ナブラチロワ(Martina Navratilova)氏は、ツイッター(Twitter)に、「ひどい騒動。ムーア氏がめちゃめちゃにして、ノバクまで…本気なの?」と投稿。
ATPのクリス・カーモード(Chris Kermode)会長は、男女の賞金を同額とする原則を支持する姿勢を見せたものの、最終的な決定権は大会側にあるとした。
一方、全米テニス協会(USTA)のカトリーナ・アダムズ(Katrina Adams)会長は、全米オープン(The US Open Tennis Championships)の主催者が、男女同権の原則を守るつもりだと述べている。
「USTAと全米オープンは、基本原則として選手を平等に扱います。賞金額を平等に設定する最初の四大大会(グランドスラム)として、スポーツにおける男女同権の道を切り開いてきました」
「時代遅れで性差別的、また思慮の足らない先般の主張やコメントは到底受け入れられず、テニス界の大半を占める考え方を反映したものではありません」
(c)AFP